ニュース | 5月29日

「アパレル」と「ファッション」2つの言葉の違いを知っていますか?

「アパレル」「ファッション」という言葉をよく耳にしますが、この2つの言葉の違いをご存知でしょうか。

この2つの言葉には「衣料品」という意味がありますが、その語源や意味の違いを正確に説明するのは難しいですよね。言葉の意味の違いを把握するためには言葉の「視点」に注目する必要があります。たとえば、マーケティングやメーカー側の視点から見ると、それぞれの言葉の使われ方には微妙な違いがあることがわかります。学生や未経験からアパレルを目指している方にとっては、この違いを理解することで将来の職業選択もしやすくなる重要な要素です。

今後アパレル業界で活躍を目指す方、これからアパレルを始める方、また既に活躍中の方も、この2つの言葉の意味合いをしっかりと理解し、知識として把握しておくことが大切です。今回は、「アパレル」「ファッション」の言葉の違いについて紹介、解説していきます!

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▼「アパレル」とは


アパレル(apparel)の言葉の由来は、フランス語です。フランス語の「appreiller(アパラーレ)」はもともと、服を着せるや着飾るという意味があり、アメリカで大量生産される製品の一種としての衣料のことを「apparel」と称するようになりました。現在の日本でも、布から作った既製服のことを「アパレル」と呼ぶようになりました。既製服の他、アパレルメーカー、繊維、製造、技術、生産管理、パターン、縫製、工場、仕入れ、卸売、流通業など衣料品産業全般やアパレル産業を含む広い範囲を指すときにも用いられる言葉でもあります。

 「アパレル」は、ビジネスの意味合いが強く「業者」の視点が入っているとも言えます。「アパレル業界」という言葉は、基本的に流通業や小売業、サービス業など、衣服を扱うの商業ビジネスにかかわる業態・業種全般を総合して表す言葉として使われています。


▼「ファッション」とは


ファッション(fashion)の言葉の由来は、ラテン語の「factio(ファクティオ)」に由来します。「factio」は「作ること」「行為」「方法」といった意味を持ちます。衣料だけを指すアパレルとは違い、ヘアスタイルやメイク、小物なども含めた身につけるものの全体のことを指すのが特徴です。それぞれのアイテムの組み合わせによってつくられる雰囲気をファッションセンスと言うことからも対象の広さがうかがえます。また、ファッションの範囲は幅広く流行やカルチャーにも深く関連しています。服装やアクセサリー、髪型、メイクなども含まれるため、「ライフスタイル」の表現や興味の対象の一種と捉えることも出来るでしょう。

「ファッション」は、創造的な意味合いの強い「表現者」の視点が入っていると言えるでしょう。主にコーディネートでニュアンスを表現することや、皆が真似したくなるような魅力あるスタイルを生み出す言葉として使われています。単なる服飾ではなく、今という時代や文化を映し出す重要な要素の一つです。

▼「アパレル」に関わる職種


アパレル業界は、自社の商品を「作って売る」「購入してもらう」ことを目的とするため、関わる職種もその流れに沿って構成されています。たとえば、商品企画を担うプランナー、デザインを担当するファッションデザイナー、洋服の型紙(パターン)を作成するパタンナー、素材や生産を管理する生産管理担当者、販売戦略を立てるマーチャンダイザー(MD)、メディアへブランド情報の発信を行うプレス、そして実際に商品を仕入れるバイヤーなど、多くの専門職が連携して業務を行っています。アパレル専門の商社や卸売で働く人はもちろん、実際に売り場に立つショップ店員や販売員、オンライン運営担当など、接客で消費者との接点を持つ仕事も含みます。

プランナー(企画職)


市場調査やブランド戦略に基づき、どんな商品を作るかを計画する職種。シーズンごとのテーマやターゲット層、価格帯などを決定します。

デザイナー


プランナーの企画をもとに、実際の服のデザインを行う職種。形、色、素材、細部のディテールなど、商品のビジュアル面を創造します。

パタンナー


デザイナーの絵型(デザイン画)をもとに、服を立体的に仕上げるための型紙(パターン)を作成する技術職。フィット感や動きやすさにも配慮します。

生産管理


服が計画通りに生産されるよう、工場との調整・素材の手配・納期・品質やコストの管理などを行います。国内外の工場と連携することも多い職種です。

マーチャンダイザー(MD)


売上目標や市場分析をもとに、どの時期にどの商品をどれだけ投入するかを決める職種。商品構成や価格戦略など、販売の根幹を担います。

プレス


アパレルブランドの認知度やイメージを広く発信する役割を担う職種です。雑誌・WEBメディア・SNSなどを通じて、ブランドの商品や世界観を紹介し、ターゲット層に向けた広報活動を行います。

バイヤー


ショップで取り扱う商品を国内外から買い付け、店頭に並べる役割。トレンドや人気のアイテム、売れ筋を見極めるセンスと取引における交渉力が求められます。

ショップスタッフ・販売員


店舗での接客や販売、サービスを通じて消費者と直接関わる仕事。ブランドの「顔」として、商品知識やコーディネート力も重要です。

EC運営担当


オンラインショップの運営や商品登録、ビジュアル制作、顧客対応などを行う職種。デジタルでの売上強化を図ります。

▼「ファッション」に関わる職種


一方、ファッションの分野では、スタイリスト、インフルエンサー、モデル、ファッションエディターなど、「見せる・伝える」役割を担う仕事内容が多く見られます。ファッションショーや撮影現場、SNS、イベント、メディアなどを通じて、新たなスタイルや価値観を作り、ブランドの世界観やコンセプトを発信する職業の人たちです。このように、アパレルは製造から販売までの流れを支える職種が中心であるのに対し、ファッションは表現と発信に重きを置いた職種が中心となります。こうした表現者には高いスキルやセンス、そしてトレンドに対する鋭い興味が求められます。

スタイリスト


テレビ、雑誌、広告、芸能人などの衣装をコーディネートする職種。TPOやテーマに応じて、最適なスタイリングを提案します。

モデル


服を実際に着用し、魅力を伝える役割。ランウェイや撮影での存在感やブランドのコンセプトを表現する能力が求められます。

ファッションインフルエンサー


SNSや動画などを通じて、自らのスタイルを発信し、ファンや購買行動に影響を与える存在。情報発信力が武器です。企業やブランドと連携したマーケティングの一環として起用されるケースも増えています。

ファッションエディター


雑誌やウェブメディアなどで記事や特集を企画・編集する職種。取材や調査からトレンドを読み、文章やビジュアルでファッションを伝えます。

ファッションディレクター/アートディレクター


ブランドやプロジェクトのビジュアルや世界観を統括する役割。広告、ショー、店舗づくりなどの全体的な方向性を指揮します。

▼トレンドや流行との関係性


アパレルとファッションは、どちらも「流行」に強く影響を受ける分野ですが、その捉え方と活用方法には違いがあります。アパレル業界では、トレンドの動向を分析し、売れる品を素早く市場に投入することが求められます。シーズンごとの展示会やデータに基づいた予測を通じて、消費者のニーズを先回りし、効率的に商品を展開していくことが重要です。一方、ファッションは、トレンドを「追う」だけでなく、トレンドの先を見据えて「創る」存在でもあります。時には既存の流行に逆らったスタイルを提示することで新たなムーブメントを起こすなど、自由な発想が重視されます。また、ファッションは一過性ではなく、「その人らしさ」や「カルチャー」とも深く関係しており、時代の空気を表現する手段でもあります。アパレルは市場に流通する商品を軸に、ファッションはスタイルや思想を軸に流行と関わるという点で、大きな違いがあるのです。

▼現代のファッションとアパレルの境界


現代では、アパレルとファッションの境界線は徐々に曖昧になっています。アパレル企業がファッション性を重視したブランド戦略を取ることもあれば、ファッションインフルエンサーが自らブランドを立ち上げ、ビジネス的な動きを見せることもあります。このように、ビジネスと表現の垣根は低くなりつつあり、両者の理解を深めることがますます重要になっています。特にアパレル業界への就職やキャリアを考える際には、「アパレル=モノづくり・流通」「ファッション=スタイル・表現」というこれらの本質的な違いを知っておくことで、言葉の使い分けや自己PRの説得力が大きく変わってきます。言葉の意味を理解することは、業界への理解を深めより的確な進路選択にもつながります。アパレルとファッション、それぞれの役割と価値を正しく捉えることが、これからのキャリアにおいて大きな武器になるでしょう。

▼ 最後に


アパレルは、ビジネスとして「利益」を生み出すことが出来るかどうかということがポイントになるので、売れる既製服を作り提供することを最大の目的とし、原価率や製造のしやすさ、技術の最適化、繊維や素材の選定、さらには店舗運営での販売効率などを考えることを重点としています。一方ファッションは、洋服や小物をコーディネートしたトータルのイメージを大事にし、流行や個人のセンスを反映させながら、新たなアイテムやトレンドを生み出すことを重点にしており、アパレルのように利益を求めて創り出す能力よりは、表現や創造性に重きを置いています。

アパレルとファッションの違いをまとめると、ビジネス的か創造的(新しいものを作る時など)であるかということ。業者、表現者の視点なのかに注目しておくと理解しやすいでしょう。

いかがでしたか。普段、何気なく使っている言葉にもそれぞれ異なる意味を持っているので、使う用途に合わせて言葉を選んでいくことが大切です。この2つの意味をしっかり理解することで、面接や就職活動の際の言葉選びにも役立てることが出来るでしょう。

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